国崎香太

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ここにはないことだけが確かだった。あれがないとどうしようもない。替えがきくものでもないから、自然と見つかるのを待つしかないだろう。でも明日からどうすれば…インターホンが鳴った。来客の予定はない。スコープを覗くと、服装ですぐに分かった。ドアの前にいるのは昨日の私だ。
家に上げて話を聞く。職場のロッカーにあったのを思い出して、届けに来てくれたとのことだった。
一昨日の私が買ったシュークリームをお供にしばらく談笑したあと、突然の客は帰っていった。
昨日の私が親切な人で良かったけれど、元はと言えばあんな所に置き忘れた彼女のせいだった。

6/27/2024, 11:16:59 AM