こうしてずっと星空を眺めていると、時が止まったような感覚を覚える。
観測をすると地球ではなく星が動いているように見えるが、人の目では分からないほど、ゆっくりとした速度で大地は動いている。古い時代の人々が、地球ではなく天球が動いているのだと主張する理由も分かる。
星座は標本のようだ。手足を星に縫い付けられ、空という板から動けない。
神様は、観測者は常に理不尽だから、天地が逆さまだったり、自分の知らないものと星を繋げられたりと、星座という標本には案外適当さがある。古い星図なんかは面白おかしい絵が多く見れる。
この景色はこれからもずっと変わらないだろう。
もちろん固有運動によって少しずつ星座という形は変わるけれど、少なくとも、『自分』という世界が終わるまでは標本のまま、時を止めたまま空を巡る。
だからこそ、僕はベテルギウスの爆発が待ち遠しいのだ。『自分』という世界は常に移ろう。それは、僕が観測する星座だって恒星だって銀河だって、例外ではないのだ。
……寒くなってきた。馬鹿なことを考えていないでもう帰ろう。エネルギーを作ることが出来る恒星と違って、ヒトは外部からエネルギーを摂取しないといけない。コンビニの適当なホットスナックでも買って帰ろう。
さっきまで使っていたレジャーシートをおざなりに折り畳んでリュックへ突っ込んだ。
お題:変わらないものはない
12/26/2023, 11:47:02 PM