夜歌

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 何かに熱くなるのを避け始めたのは、さていつからだったろう。なけなしのプライドが負け戦を厭うお陰で、無駄に傷付くことも無くなりはしたけれど。意識は高くも低くもなく、宙ぶらりんを漂っている。
 しかし、心の片隅で燃え続ける小さな炎を、消すことなんて出来やしない。どうせ、今度は燻り続けることが明白であるからだ。
 だけど、それでいい。抱く灯火は、猛火となり得ないかもしれないが、心が冷たくなるよりは良いはずだ。


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心の灯火

9/3/2023, 9:21:59 AM