友達から貰った有名なテーマパークのマスコットキャラのぬいぐるみ。
特に好きではないけれど、友達が買ってきてくれたお土産だ。
即クローゼット行きは可哀想だと思い、本棚の空いているスペースに飾ることにした。
見開かれたハイライトのない黒い瞳と目があったような気がして、気味が悪い。
こんなのが大人気だなんて、と苦笑しつつ畳んだテーマパークの袋を仕舞ってから自室を出た。
バイトから帰宅して家族と晩御飯を食べ、入浴を済ませて自室に入ると、あのぬいぐるみが床に転がっていた。
ギチギチに詰めたはずなのに、と不思議に思いながら元の位置にぬいぐるみを戻してから、本棚にキッチリ収まっているぬいぐるみを監視するためにベッドに寝っ転がる。暇人。
いつの間にか寝ていたようだ、ぬいぐるみはまだギチギチしている。
やっぱり気のせいか、と欠伸を一つ、再び寝る為に目を閉じた。
バタバタッ、と大きな物音がすぐ側で鳴り、驚いて目を覚ます。
本棚の下に真っ黒い大きな塊がウネウネと蠢いていた。
幽霊かっ、と思わずバッと身を起こすと黄色く光る二つの目。
にゃーん。
可愛らしい鳴き声一つ、ぬいぐるみの横にコロンと寝転んで飯の催促をする大きな黒猫。
なんだ、おまえだったのか。
テーマ「鋭い眼差し」
10/16/2023, 5:00:49 AM