突然インターホンが鳴った。
確認すると、ドアの前に立っていたのは二人組の警官だった。
「◯◯さんですね。実は今昨日発生した事件の捜査をしていまして--」
そう切り出され、簡単に事件の概要を説明された。
どうやら昨夜に隣の部屋の住人が殺害されてしまったらしいのだ。
「すみませんが、署までご同行願えますか」
そう言われ警察署まで着いて行った。
いわゆる重要参考人というやつか。
飾り気のないシンプルな部屋に通され、長机を挟んで、先ほどの警官二人と向かい合わせの状態となる。
被害者について知っていることはあるか、昨夜おかしなことは無かったか、私自身のアリバイはあるかなど、様々なことを聞かれた。
「なるほど、あなたは昨夜の事件発生時刻は友人宅にいたのですか」
「そうです。なので事件のことについてはあまりお役に立てないかと……」
私は申し訳なさそうな表情で俯いた。
「そうですか。では最後になりますが、この写真を見ていただけますか?」
「……? 分かりました」
警官が差し出した一枚の写真を覗き込む。
それには、隣人が頭から血を流して倒れている様が写しだされていた。
その光景は私が昨日見たものとほとんど同じだったが、一点だけが異なっていた。
隣人の指先には血が付いており、その先には……私の名前が書かれていた。
ああ、あの時完全に死んだと思ったが……まだ生きていたのか。
「……申し訳ありませんが、もう少しお話を聞かせていただけますか?」
警官は神妙な面持ちで私に問いかけた。
7/20/2023, 11:01:49 AM