私が就職に伴い初めて一人暮らしをすることになった時、カーテン製縫工場に勤めていた母からカーテンを贈ってくれることになった。
小さな布が貼られてある見本カタログはとても分厚く、めちゃくちゃ重たかった。
それを2冊ほど持ってきてくれて、カーテンの生地や特徴などバリエーションが豊富にあり、どれも興味深くて面白かったのを覚えている。
色は男女差のないように黄みのあるベージュにして、でも朝の光が照らされると温かみが伝わるように。
レースは、外からは室内が見えないように特殊加工されているカーテンを選んだ。
値段は載っておらず、いくらだったのかは今でも知らないが、後になって母が「予想以上に高かった…」と苦笑をこぼした。
カーテンってそんなに高いんだ…と思ったが、それを一人暮らしにと贈ってくれるその気持ちが何よりも嬉しかった。
そのカーテンは、一人暮らしを再開した姉に譲って今も役立っている。いずれはまた私の元へ戻ってきて、家が変わったとしても、ずっとずっと使い続けたい。
10/11/2023, 12:56:02 PM