(secret love)(二次創作)
グルーシャと両想いになり、男女交際を始めたチリだが、早々にオモダカにバレてしまった。
片やパルデア唯一の専業ジムリーダー、片やパルデアリーグ四天王が一人。公私混同はもちろん、オフの時間でも人前で堂々といちゃつくつもりはない。身の回り品をお揃いにしたわけでもなく、グルーシャは相変わらず最低限しかリーグ本部には顔を出さず、一体どこからオモダカの知るところとなったのか。
「一応言うとくけど、うち、誰にもグルーシャんこと話してないからな」
「僕だって。いちいち言うことでもないし」
さしずめ「秘密の恋」ですねと少し嬉しそうなのはオモダカだけだ。そもそも今日だって、急に二人揃って呼び出しを喰らい、さて何があるのだろうと内心ヒヤヒヤしていたのだ。蓋を開ければまさかの展開。もう帰っていいだろうかと上司の顔色を伺うチリだが、オモダカは背後に向かって手を叩く。
「秘密の恋であれば、私もしているのです」
出てきたのはアオキだった。
「……恋?」
「偽装結婚やなくて?」
アオキは変わらず疲れ切った表情で、とても両想いには見えない。オモダカの声がやや上ずっているので、オモダカが彼を好いているのは確かだろうが、どうも主従の延長線上に見えてしまう。
結局、それぞれの関係性は時期を見て公表しましょうという話になった。オモダカのことだ、普通に公表させてくれる気がしないが、取り敢えず話はそれで終わりとなった。
オモダカの執務室を辞して、廊下を歩きながら、グルーシャがぽつんと呟く。
「なんか……無駄に疲れた」
「あー、判る気がするわ」
「アンタよくあんな人の下で働けるね。……いや、すごい人だとは思うけど」
「そんなん言うたら、大将を恋人にしてるアオキさんもアオキさんやわ」
まだ業務は残っているが、チリは早退することにした。いずれも明日に回して良いものばかりだし、上司公認となった恋人と甘い時間を過ごしてもバチは当たるまい。
9/4/2025, 11:38:21 AM