『神様が舞い降りてきて、こう言った』
いつもは重い足取りは今日は軽かった。
気を緩めれば、スキップしそうになる程、僕の機嫌は良くて、ついつい頬が緩んでしまう。
僕がこんなにも機嫌が良いのは、理由がある。今日、僕は自殺することにしたのだ。
もう、限界だった。上司からのパワハラ。誰も助けてくれなくて、目をそらされる日々。僕が死ねば、少しでも罪悪感を抱えるだろう。
それで『オレのせいか?』と頭を抱える上司を見て、僕は言ってやるんだ。「そうですよ」
ちょっとした仕返しのつもりだ。お前のせいだ。という現実を突きつけて、お前も死ねば良いと思った。そして僕がパワハラされるのを無視した奴らも罪悪感を感じろ。
屋上への長い階段を上る。外にあって夏場は暑く、冬場は寒い。最悪な階段が天国へのカウントダウンだと考えれば、笑みが浮かぶ。
僕は天国へ行き、アイツラは地獄へ行く。
僕にこんな事をした自分を恨め。
風がビュービューと吹き荒れている。片足で立つだけで、落ちてしまいそうだ。
フェンスを跨り、空に向けて足を一歩踏み出そうとする。
すると、天から光が降り注いだ。死ぬ間近で幻覚を見ていると思い、構わず足を踏み出すと、羽が生えた人間…天使のような人が僕の前に現れた。
「君、このままだと地獄行きだよ」
天使のような人はそれだけを言い残していった。僕は空に向けて踏み出した足が重力によって真っ逆さまに落ちていった。
地面に激突し、僕は頭を打って、即死だった。
7/27/2024, 2:25:38 PM