今私の目の前に現れた景色は、前からあったような、それとも最近までなかったような、記憶が曖昧な景色だ。
その景色の目印は、大きな二本の桜の木だ。
二本の桜の木は、お互いに、近づきたい想いを、何年も何年も、途方もない時間、持ち続けた。
そして、何年もかけて枝と枝が少し触れ合うことができた。そして、また何年も何年もかけて、木と木の境目がわからないくらいに、お互いが近づき続けていった。
二本の桜のどちらも、満開をとっくに過ぎていて、若葉が茂っている。
空は快晴で、太陽の光が降り注いでいる。
二本の桜は、春風になびいて、私を迎え入れてくれる。
新たに萌え出た若葉と、咲き誇った桜の花が、全く違うようで、どこか馴染んだ制服とボタンのように、絶妙なコントラストをみせてくれる。
桜が咲いて、散った後も、まだ物語は続いている。
今の私はまだ気づかないけれど、桜の花は過去で、若葉は未来だ。
”今”この景色を見ているのは、現在のわたしであって、他の誰にもわたしの代わりをしてもらうことはできない。
この世界は、わたしがいないと始まらないんだね。
過去と未来が繋がっているのを、観測者であるわたしが確認しないと、この世界は閉ざされてしまう。
新たな季節を告げる音が聴こえる。
________________________________未来図_________。
4/14/2025, 2:04:20 PM