七夕に織姫と彦星が会うように、
年に一度、この日だけは互いにどれだけ忙してくても、
必ず時間を作って会うようにしていた。
思い出の展望台で夜空を眺め、2人の近況を報告しあっていると、
ふと、何か決心した顔つきで、彼が口を開いた。
「なあ、ちょっとだけ、いいか?」
「どうしたの?」
自分から話を切り出した癖に、暫く彼は何も言わなかった。
きっと、言いづらい事なのだろう。
私には、彼が何を話すのか想像が付いていた。
もう付き合って10年経つ。今まで、お互いに浮いた話など幾らでもあった筈だ。
それでもこの関係が今でも続いているのは、やはり互いに好きだから、
少なくとも、私は今でも彼のことが大好きだ。
でも、好きだからこそ、日々が辛い。
こんな関係、終わらせてしまった方がいいに決まってる。
そして再び何かを決心した顔つきで、彼は口を開く。
私も決心した。
「俺と、結婚してください」
「えっ?」
小さな箱から取り出された指輪のダイヤモンドが、
夜空に照らされて、きらきらと輝いていた。
7/7/2024, 1:48:56 PM