圧倒的にペンギン

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【時を告げる】

突然だが医者に余命1年と宣告された。
ヒェェー。
そんな時友達が言った。
「死ぬ瞬間に持っていたものはあの世に持っていけるらしいよ」

─え?まじで?

私は手早く親戚に借金を繰り返し、さらに闇バイトで稼いで得た合計1億円を体に巻き付けた。
このまま死ねば来世は金持ち確定だ。
私はそのまま車道に飛び出しトラックに突っ込んだ。
ぐしゃあー。これは死んだな。

しかし私の意識が遠のこうとするその時、声がした。

「大丈夫か?今助けるぞ!」
見るとハゲたデブのオッサンが心臓マッサージをしようとしているところだった。
え?何この状況。

当然体に巻いたお金は外されている。
オッサンは私の手を握り言った。
「私がずっとついているぞ!」
やめろハゲ。お前はいらん。

私はそのまま息を引き取った。

─来世

私は異世界で英雄となっていた。
一緒に転生してきたオッサンが勇者だったため、一緒に付いていき魔王を討伐したのだ。
ちなみに私の役割は荷物持ちだ。

危なかった。
来世が中世風の異世界だったので、仮に1億円を持っていたとしても何の役にも立たなかった。

やっぱ世の中、金じゃない。
コネよ。
私は世の真理を理解した。

9/6/2023, 1:13:19 PM