たやは

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どうすればいいの

町のスーパーに勤めている。来週は月に一度の半額大感謝セールで、野菜、肉、魚、お菓子などなんでも半額で販売することになっている。このセールは大盛況で朝早くから大勢のお客さんが列を作る。

そんな大事な日の発注を間違えてしまい、キャベツ200個のはすが0を付け足して2000個注文してしまった。
どうしょう。どうすればいいの。


「キャベツ2000個ってどうするよ。収穫も始まってるし今さら返品なんてできないって農協が言ってるよ。困ったなあ。」
店長からお叱りを受けたが、全て私が悪いし弁解の余地はない。

「あの。感謝セールの日、お祭りみたいに屋台とかキッチンカーとか呼んだらどうですか」
パートリーダーさんが声をかけてくれた。

「そうだなあ。人も集まるし募集かけてみるか。キャベツ料理限定にでもすれば少しは消費できそうだな。」
店長は乗り気だが、まだまだキャベツほ残っている。どうしよう。

セール3日前。
屋台やキッチンカーの説明会が開かれ、その中にいつも買い物に来てくれる顔なじみのお客さんがいた。

「キャベツたくさん余っているみたいね。うちの寮でも使うよ。うちの子たち柔道部だからたくさん食べるのよ。そうそう、給食センター紹介しようか。」
顔なじみの寮母さんはキャベツを30個買ってくれた。ありがとうございます。

紹介された給食センターからの注文は850個。すごい。
「いいのよ。気にしないで。市内の小中学校の給食がお好み焼きか焼きそばなんて楽しいでしょ。子供たちも喜ぶわ。遊び心も大切だからいいの。いいの。」

これでキャベツ2000個のうち半分近く売れたが、あと半分をセールの日のうちに売らないとならない。
どうしよう。どうすればいいの。

セール当日。
遅番のため家からトボトボ歩く私を呼び止める人がいた。
「スーパーの人?キャベツ餃子焼いてるキッチンカーの人に聞いたけど、キャベツ余ってるの?俺さあ、養豚と養鶏してて、あの子たちものすごい食うからキャベツ欲しいけど、安くしてくれるの。」
もちろん半額です。
家畜農家さんが200個買ってくれた。

スーパーでセール準備のためキャベツを並べているとまた別の人に声を掛けられた。
「母ちゃんが給食センターに勤めてて聞いたけど、キャベツたくさん余っていて困っているらしいね。良かったらうちで貰うよ。ああ。私ね、動物園の園長してます。
動物園ではね、アフリカゾウやサイ、キリン、カピバラなんかがキャベツを食べるね。」
動物園の園長さんはキャベツを700個買ってくれた。

これでスーパーで売る予定だった100個のキャベツを店頭に並べれば全てさばける。
信じられないが2000個を売ったことになる。
いろいろな人に声をかけてもらい、私は幸運だった。また、人と人との繋がりに感謝しかない。

本当にありがとうごさいました。

11/21/2024, 2:25:54 PM