はな

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すれ違う視線の中で、また。

気付いたら、また目を逸らしていた。
向けられた視線をなぞるのが怖くて、少しだけ、左の方を、何も無い空虚な左の方を、見つめる。
それは視線だけじゃなくて。
たとえば、誰かが私に届けようとした気持ちの破片に気付かないふりをしてしまったり。
たとえば、私が誰かに届けたかった気持ちの破片も、途中で軌道を逸らしちゃったり。
そういうことだって、私の弱いところが、待ってって震えてるから、踏み出そうとしてくれないから。
だけど、それでも。
震えながら踏み出した1歩が、伝えたかったこと、ぎゅっと握りしめて、それを届けてくれたら。
私の送った破片が、誰かの破片とぶつかって、ぴったり共鳴してくれることがあったなら。
交錯する視線の中、気持ちの破片の中。
私ははじめて、私を伝えられるんだろう。

5/5/2025, 3:54:07 AM