海へ
盆を過ぎた夕方の海は静かだった。
ようやく自分は夏はすでに訪れていて、もう去ろうとしていることを実感した。
夏にやり残したことをこのビーチでやってしまおうと私は波打ち際まで走り、その勢いで服のまま海へ飛び込んだ。
びしょびしょになり砂浜に座った。
磯の香りとしょっぱい海水。この短時間が今年の夏の最大瞬間風速となった。満足して立ち上がりあたりを見渡した。誰もいない。沈もうとする太陽、波の音。
強い西日が自分を照らす。その影はやっぱり猫背で頼りなかった。
もちろん服の替えを持って来てる訳では無い。
服を思いっきり絞り、許容範囲の濡れ具合になってから車に乗って帰った。楽しくはなかった。でも、今年の夏を後悔する気持ちは無くなったと思う。
来年も寂しい夏を過ごすことになるのだろうか、不安な気持ちで薄暗い道を楽しい音楽をかけて家へと進んだ。
8/23/2023, 2:36:02 PM