回顧録

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その瞳が好きだった。
真昼の木漏れ日、練習場の切れかかった蛍光灯、
帰りに寄った公園の街灯、カーテンから差し込む朝日。
僅かな光を反射してキラキラと輝く小さな宇宙。

まっさらなシーツを纏って、
声変わりしたばかりの掠れた声で不安げに俺の名前を呼ぶ。

きっと、あいつから見て世界はとても綺麗なんだろう。
たとえそれが仮初だったとしても、俺は守りたかった。
無菌室に閉じ込めてでも俺はあいつを大事にしたかった。

でもあいつは俺に守られてはくれなかった。
ぽろぽろと涙を流しながら、強くなった。

もうあいつは泣かない。

涙腺なんてもう枯れてしまった、と
あいつが煙草でガサガサになった声で笑った。

力強い真っ黒な目はただ現実を見据えていた。

『星が溢れる』



作者の自我コーナー
お察しの通りモデルが居ます
この二人の言葉では言い表せない強い関係性が好きです

3/15/2024, 3:34:28 PM