赤いヘッドホン

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鶴は千年亀は万年、という言葉がある。
しかし、現代の鶴や亀はそんなに長生きではない。
いくら縁起が良くても、性質上、鶴も亀ももっと早くに死んでしまう。

一方、宇宙の星々の寿命はもっと長い。
太陽であれば約100億年。
もっと小さく軽い星であれば、兆にまで達するらしい。

寿命が最長3桁の生物である我々人間から見れば、それはあまりに果てしない長さだ。
反対に、星々から見た人間の一生は、一瞬の出来事とすらカウントできない程度の長さかもしれない。

私達が星々の歴史を最初から最後まで見届けることは叶わない。
そして、私達の歴史はこの惑星の死と共に消えるだろう。
しかし…それはなんとなく凄く嫌だ。
今生きていることすら、無意味に思えてきてしまう。
自分の思考も生死も何もかもを放棄したくなってしまう。
『だって、どうせ最後には消えてしまうのだから』と。

__星々は、宇宙は、覚えていてくれないだろうか。
誕生の時から、今も、1000年先も、その先も、全て。

私は、どうにか覚えていてほしい。
そうでないと、……虚しいじゃないか。

2/3/2023, 4:30:48 PM