河野陽葵は太陽のような人だった。
太陽のように世界を照らして、夕暮れを残して去っていく。
彼女がこの世を去ってから、半年が経った。
あの陽だまりの心地良さを知らなければ、自分がいた場所がこんなにも暗くて、惨めなところだったと気づかずに済んだのに、なんて逆恨みも甚だしいけれど。
私は未だに想い出ばかりしがんでいたから、
私の推測によれば私か、もしくは私以外の全員だ。
境目で空気の流れが乱れているからすぐ分かる。
こういう時は少数派が異物役を買うのが一般的だろうか。
試しに席を立ってみると、教室後方のドアの前から山崎と石野が避けた。動線を確保してくれたようでありがたい。少し動けば道が開くだなんて、たった数時間で私はモーセにでもなったのだろうか。
戒律は
2/22/2024, 12:28:18 PM