入木

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「愛されたかった訳ではないのです。
許されたかっただけなのです」
震えた声で彼女は語る。
「優等生でいました、そうすれば褒められる気がしたから」
彷徨きながら、その場をぐるぐると回りながら。
「テストで良い点取りました、褒めてくれたから」
落葉を蹴散らす音は声と共に大きく。
「殴られても笑いました、良い子だって言われたいから」
一際大きく落葉を蹴り上げて、彼女は止まった。
「全てやりました、許されるために」
小さな声で堪える様に絞り出した、
「どうすればよかったんですかね?」
口角を歪めた、その顔は自嘲な薄笑いで満ちていて。
「許されたかっただけなんです」
夕日が彼女の顔を照らす。
「愛してくれなんて言わなかったのに」
日に輝く涙だけが美しく。
言うべき言葉など見つからなかった。

#どうすればいいの?

11/21/2022, 10:41:03 AM