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「透明」
何色にもなれる透明はどんなところでも染まれるように出来ていた。自分はなんでも出来る気でいた。誰からも好かれる存在だと勘違いをして皆の隣にいた。
ある時気づいた自分には個性がないことを、周りには色んな人がいて、彩に満ちていた。輝かしい未来に向かって皆が歩んでいく中、自分だけが取り残されていく感覚に陥った。だから色をつけた、自分の好きな色に塗り潰した、これで自分も皆の輪に入れると期待した。
入ってみるとやはり皆楽しそうに各々過ごしていた、自分もまたこの一時を楽しんだ。

雨が降ってきた
皆が傘を持つ中、自分は持っていなかった
色が落ちてゆく
周りが自分を見つめている
視線が痛くてその場から逃げて逃げて逃げて
たどり着いた場所は元の場所
結局、自分は何者にもなれなかった…

そうして自分は雨となって消えてしまった

6/21/2024, 12:34:32 PM