『それでいい』
不器用でもいいんだよ。
何も出来なくてもいいんだよ。
怪我さえ無ければいいんだよ。
才能なんか無くてもいいんだよ。
おっちょこちょいでもいいんだよ。
健康ならいいんだよ。
特別じゃなくてもいいんだよ。
唯、生きていればいいんだよ。
と、言われた。
それは所詮、宝石を詰めた便の様で美しく、スッキリしない曇り空みたいだった。
そう、所謂、綺麗事と呼ばれるモノ。
苦笑いで済ませた放課後の先生と二人きり特別ホームルーム。
大人って、綺麗事言う割に汚れている。
汚れている割に、綺麗事ばっかり。
教室の机の下、プリッツスカートに爪を突き立てた。何も参考になら無い人生の参考書。
彼女に、『ありがとうございました。』と述べて夕陽に照らされた階段を降りる。
それでいいとか、簡単に言って欲しくない。
けど、『あかんやん』と言われたら、多分、私は更に自分を追い込む。
もう、どうすれば良いのだろうか。
24.4.5
4/5/2024, 9:27:16 AM