『君からのLINE』2023.09.15
『食事にでも行きませんか』
スタンプも絵文字もない素っ気ないメッセージ。
久しぶりに届いたお誘いのメッセージに叫んでしまった。わりと本気で。奇声と言っても差し支えないぐらい。
何事かと飛び込んできた弟子に、なんでもないと身振りで応えてから、届いたそれを食い入るように見つめる。
あの素直じゃなくて気まぐれな彼からの、自発的なそれに心臓がタップダンスを踊っている。
俺の高座にきたついでの食事はいままで何度もあったが、なんでもないときにこうして彼からのお誘いはかなりレアなのだ。
ひとまず、スクリーンショットを撮っておく。
それから、深呼吸をひとつしてからどうやって返信をしようかと腕を組む。
『お誘いthx! チョーうれピー!』
これはダメだ。ふざけるなと怒るだろう。
『いいね。行こう』
これもシンプルすぎて面白みがない。
こちらから誘ったとき、彼はどんなふうに受けてくれただろうか。
参考に見返すと、
『いいですよ』
実に素っ気ない彼らしい文面だった。全く参考にならない。
しばらく悩みに悩んで送った返事は、『OK』というスタンプ一つだった。
もっと強くなれ、俺。
9/15/2023, 11:35:15 AM