恵桜

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「すれ違う瞳」

特に何か特別なことがあった訳では無い。裏切られたとか虐められたとかものを壊されたとか。
昔は仲が良くほとんど毎日一緒に登下校したが、今では話すことが無くなった。そんな彼と廊下で会う時私は少しだけ気まずい。それはきっと私が内心もう少し話したいと思っているからなんだろう。ただなかなか話しかけられない。そこに明確な理由もない。ただ何となく自然と話している関係が理由もなく消え、それ故に理由もない中話しかける意義を見つけられないのだ。
そんなもどかしさ故に彼とは疎遠になり、卒業も半年後。高校は別々だから、この半年間が最後なのに、何となく離れた存在。
そんな彼と瞳がすれ違い、彼との登下校は古き日常の思い出として残る確信を持った。

5/4/2025, 11:15:44 AM