回顧録

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いつも雛鳥のように俺の後ろを付いて歩いたあの子。
隣できみは凄いなぁと目を輝かせていたあの子。
目が合ってはニコッと笑ってくれるあの子。
俺の事を無条件に信じては、くだらない嘘に引っかかり泣いていたあの子。
かわいいかわいい俺の雛。

幼い頃からの刷り込みのせいで、未だにお前は俺の事を凄いと思っているし、何度裏切っても無条件に俺の事を信じる。
水分量の多い銀河のような瞳から、星屑がキラキラと溢れ落ちてもそれでもお前は従順で。

そんなお前に対して俺は、俺だけがお前を好きに扱える優越感と独占欲にいつの間にか支配されるようになった。
他の人間をお前が賞賛するとドス黒い感情が湧き上がる。
その度に俺はお前に無理難題を突きつけては困らせる。

今だって、困った顔をして、ああ、目が潤んでいる。
泣きそうだな、目が零れてしまいそうだ。
でもお前はきっとーー

『胸が高鳴る』

かわいいかわいい俺だけの雛




作者の自我コーナー
いつもの(定期)

胸が高鳴るって期待や希望で興奮する様子を表す言葉なんですけど、それでこんな仄暗い期待の話を書いた自分に引いています。

彼は自分だけが雛鳥を好き勝手していいと思ってるし、
どこまで自分に従順かを定期的に試していると思います。
それで一線越えちゃってそうですよね。
彼らのことを好きな人間から見ても引くことがある関係性。

3/19/2024, 5:31:20 PM