あん

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独りで夜を泳ぐ者がいた。
その者はまるで悪魔のようで、はたまた天使のように微笑む時がある。
いわゆる『ワケあり』って奴なんだろう。
「君、帰らないの?」
出会って1週間程たったある日、ずっと聞いてみたかったことを聞いてみた。
『帰りたいけれど、もう帰れないのよ。』
彼女はそう言って困った顔で笑って見せた。
「、、、やっぱり君は天使だったのかい、?」
彼女はどうやら気づかれているとは分かっていなかったようで驚いた様子を見せた。
『どうして、貴方が知っているの、?』
「君は、羽の色が真っ黒じゃないんだ、肌に近い部分にかけて白くなっているんだよ。」
自分でも気づいてなかったようでビックリしていた。
『そう、、、私ね、天使だったの、だけど禁忌を犯してしまって。』
「禁忌、、、?」
彼女と出会ったのは丁度病院から退院したその日だった。 線路を渡っていて、車が突っ込んできて、
その後は、、、もう覚えていない。
『人を、助けてしまったの。 天使は皆に平等で在らなければならないから、私は、、、やってはならないことをやってしまった。』
彼女は真っ白な真珠の涙を流した。
『でも私後悔はしていないの、だって貴方、まだ死ぬのには勿体ないのよ、笑』
「あの時顔に降ってきた硬い何かって、もしかして君の涙だったりする、?」
『ふふ、そうね、笑 それじゃあ、私はもう天使じゃないから。 貴方が幸せになって幸せに死ねるその日まで、どこかで暇つぶししてるわ。』
「、、、 君が僕の神様でよかったよ。」
君はこっちを振り向かずにそのまま月へ旅立った。

8/16/2023, 3:48:37 AM