霜月 朔(創作)

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夜が深まるほどに、
星は輝きを増し、
無数の欠片が、
空を流れていきます。

闇は静かで、穏やかで。
全てを、優しく、
包み込んでくれます。
何も語らず、
私の罪を責めることもなく、
血に塗れた手さえも、
そっと隠してくれるのです。

私は独り、
闇に溶け込みながら、
その静寂に安堵します。

ただひとつの温もりに、
触れたいと願うことすら、
私には許されず、
私の指先は、
虚空を彷徨うだけ。

冷たい輝きが、目に焼き付き、
胸の奥が、鈍く疼きます。
私には、愛しい貴方の、
名前を呼ぶことさえ出来ず、
ただ、空を見上げることしか、
出来ないのです。

ひとつ、またひとつと、
夜の中で砕けていく星。
それは何も照らさず、
何も変えず、
ただ暗闇の中で輝き、
そして、消えていきます。

何故…。
触れる事が出来ないものばかりが、
こんなにも、美しいのでしょうか。

3/12/2025, 8:37:12 AM