「明日の晩ごはん、なににしようか」
テーブルの上の食器を片付けながら君に聞けば、湯呑み片手に君は笑った。
「今食べたばかりで、明日の晩のことなんて考えられないよ」
それもそうか、と私も釣られて笑う。
シンクに二人分の食器を置いて、蛇口を捻る。
勢い良く流れる水が皿に茶碗にと満たされ、排水口へと滴り落ちていく。
数日前よりも少し冷たくなった水道水に秋の気配を感じながら、手にしたスポンジを濡らした。
「秋は美味しい物がたくさんあるから、何を食べようか迷っちゃうね」
そうだな、と相槌を打ちつつ皿を洗っていく。
水切りカゴと食器が触れる微かな音が響く、二人きりの静かな家。
「栗ごはんと豚の生姜焼き」
「秋の定番メニューだ」
君と二人、変わりばえのしない、けれど、掛け替えのない日常を送る。
テーマ「きっと明日も」
10/1/2024, 4:03:20 AM