—雪だるま—
ある男の子が僕を作ってくれた。
「お昼だから帰るよ」
「お母さん、待ってー!」
その子供はいなくなってしまった。そのままじっと待っていると、声が聞こえた。
「これじゃ惜しいわね」
新しくきた女の子は木の実と枝を使って、目と鼻と腕を付け足してくれた。
「よし、いい感じ」
目と鼻と腕を作ってくれたその子もいなくなってしまった。またしばらく待っていると、今度はおじいさんがきた。
「これじゃ寒いじゃろ」
そのおじいさんは手袋をくれた。
「ほっほっほ、さらばじゃ」
夜、辺りが真っ暗になった頃、酔っ払った若い男がやってきた。
「おお、立派な雪だるまじゃねぇか。あと足りねぇのはこれだけか」
その人はマフラーをかけてくれた。
「あぁ、また帰りが遅くなると女房にキレられちまう。早く帰るか」
その男はしゃっくりを上げながら、ふらふらとした足取りで帰っていった。
(みんな優しいな……)
心が温かくなった僕は、溶けてしまった。
お題:雪
1/8/2026, 9:27:20 AM