森瀬 まお

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──麻美は、太陽みたいな人だね。
優子はいつも私にそう、言ってくれていた。


私はいじめられっ子で、泣き虫で、みんなから嫌われていた。
でも、ただ一人、嫌わないでいてくれた子がいた。
優子ちゃんだ。
私がいじめられていると、「やめて!」って、私を助けてくれた。
傷の手当てもしてくれた。
そしていつしか、私はいじめられなくなった。
毎日、笑顔で過ごせるようになった。
全部、優子ちゃんのおかげだ。

──全部、私のせいだ。

私が、いじめられなくなって、三年たったある日。
ふと、優子がこんなことを聞いてきた。
「麻美は、いじめられている時、辛かった?」
「そりゃぁ、辛かったけど・・・。」
「そっか、そうだよね。何年くらい続いたの?」
「うーん、ざっと、七年くらい?優子が来るまでずっとだったよ。」
「そっか、こんなに辛いのを七年か・・・。麻美はすごいね。耐え続けて。」
「そうかな?泣いてばっかりだったけど。」
「それでも、生きているだけで凄い。」
優子がこんなに私の事をべた褒めするのは初めてだったから、ちょっと照れた。
「私、人の事をたくさんほめられる優子が大好き!」
私はそう言った。
「麻美は、太陽みたいな人だね。」
優子は笑顔でそう言った。

次の日、優子は交通事故で亡くなった。
でも、私は気づいてしまった。
遅すぎた。
もっとはやく気づいてあげたかった。
──いじめの標的が、優子に変わっていたことに。
優子のおかげで、いじめがなくなったんっじゃない。
私がいじめられないように、優子がいじめられていたんだ。
私が毎日、泣いていたあの辛さを、優子は泣きもせず、ただひたすらに耐えていたんだ。
私の笑顔と引き換えに。

「なんで、言ってくれなかったの?」
私のせいだ、私が毎日耐え続けられていたら。
”そんなこと無いよ“
「優子!?」
”私は、生きようとしてたよ。死を考えたこともあった。でも、麻美が 大好き って言ってくれたから、私は、この人のために生きようって思えた。麻美のおかげだよ。私もずっとずっと大好きだからね。”

「はぁ・・・」
もう、違う世界にいる人のことまで気を配るってどんだけ優しいんだよっ!!!!!
──麻美は、太陽みたいな人だね。
優子はいつも私にそう、言ってくれていた。
私にとっては、あなたが太陽でした。



















#太陽のような

2/22/2023, 10:20:32 PM