子どもの頃、和柄が刷られた千代紙のセットを持っていた。私にとっては宝物で、取り出しては飽かずに眺めていた。
当時、家の中には母の制作物とおぼしき千代紙を貼った文箱や三段の小箱があったので、あるいは余った材料だったのかもしれない。
藍色、鴇色、茜色。
扇、手鞠、紅葉。
布として身にまとえば派手であろう色や柄も、千代紙の四角い世界の中ではお行儀よくまとまって見えた。
綺麗だなと見入っていた幼い自分の眼差しとともに色彩の記憶も蘇る。
『色とりどり』
1/8/2024, 10:15:40 PM