【木枯らし】
ひゅうひゅうと吹き荒ぶ木枯らしに身をすぼめる。寒さに震えていれば、呆れたような嘆息とともに背後から布が降ってきた。
「それ、使いなよ。見てるこっちが寒いんだけど」
「ありがとう!」
君が愛用している、肌触りの良い薄いブルーのマフラーに口元を埋めた。ポカポカとした温かさが首元を包んでくれるだけで、随分と木枯らしの冷たさが和らいだような気がする。
「何でいつもマフラーしてこないかな……」
「ごめんごめん、つい忘れちゃうんだよね」
ヘラヘラと軽い調子で謝罪を口にする。毎回律儀に文句を言いながらも、マフラーを貸してくれる君の優しさが嬉しくて、わざと薄着で出てくるのは、一生の秘密だ。
1/18/2024, 3:33:02 AM