もんぷ

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sweet memories

 今日は部活のメンバーでスイーツのパラダイスに来ている。私はまだ穏やかな方の2人と同じ席だったから平和にケーキを楽しんでいたものの、隣とその隣は引くくらいのテンションの高さ。一応他のお客さんに迷惑にならないように声のボリュームは抑えているが何せ存在がうるさいのだ。9人も集まっていればそりゃうるさくないほうがおかしいけど、同世代のおなじような子たちよりはるかにうるさい。それもこれも女子校という異性の目を気にしなくていい環境のせい。側から見たら色々終わっているなとか個性強すぎてついていけないとかポジティブな感想は抱かないけど、それでも私はこのメンバーが好きだ。人と仲良くなったり自分から話しかけたりするのが苦手で小学校中学校と慎ましい生活を送っていた私。泣いていても怒っていても何かを言いたそうにしていても誰も気づかない、自分なんていてもいなくてもいい空気のような存在だと思っていた。それなのに、高校に入ると部活が同じというだけでこんなにも個性と圧の強いギャル集団に放り込まれてしまった。最初は本当に場違いな気がして戸惑っていたのに、当たり前に私をメンバーの1人に数えて、輪の中心に引き入れてくれて、気づけば彼女たちと同じことで同じように笑う自分がいた。私の高校生活は思っていたよりも素敵なものだった、と総括できるくらいには楽しすぎる三年間だった。うん、本当にそう。でも、それに気づくのがちょっと遅すぎたな。
「…次、みんなで会えるのいつだっけ。」
「下宿組が帰ってくるのがお盆だからそんぐらいとか?」
「うん。じゃあ、ここでしばらくお別れかー。」
「ちょっと?!この子泣いてんだけど。早いってー。」
「もうあんたはすぐ泣くんだから。」
「お別れっていっても会えなくなるわけじゃないんだからさー。」
「まぁ、でも今まで毎日顔合わせてたもんね。」
「泣くなー!ちょ、誰かこの泣き止まない子ども笑わせたげて。」
「あやさなきゃ。ほら、保育士志望いけ!」
春休み、みんなで集まれる最終日。涙でふにゃふにゃの視界の中、みんな笑いながらもちょっとその目が潤んでいるのがわかる。本当にずっとこのままでいたいな。

5/3/2025, 6:42:55 AM