隣には親友がいる。
暖かいログハウスの外、雪が積もったテラスでホットココアを持って、2人黙って空を見上げていた。
「俺さ、ここ2年くらい色んな場所を旅してたんだ」
親友がぽつりと呟き始めた。
「もちろん俺自身のケジメをつけるためだってのもあるけど…この力でなにかできないか、って思ったんだよ」
深い闇の夜空に白い息がはっきりと見える。隣の彼の鼻は赤く、鳶色の瞳には星空が映っている。それはかつての親友を思わせる、希望に満ちた姿に見えた。
「それから、本当に沢山の場所を回ったぜ。死ぬかと思った事だって何度もある。だから…」
ココアを口に含み、ふぅ、と息をついた。
「ここに、お前の元に帰りたくなったんだよ」
俺は寂しかった。
親友の存在は俺の心の中で大きく、燦燦と輝いていた。
寂しいと簡単に思ってしまう自分が憎らしくなかったといえばそれは嘘になる。でも、ずっと後ろめたかったのは確かだ。
親友は横でへへ、と笑っている。雪解けを思わせる暖かな笑顔に、俺はいつしか手を触れていた。
頬は冷たい。ココアで温まった手がどんどん冷えきってしまう。
「俺は、お前が帰ってきてくれて嬉しいよ。」
親友の笑顔に返すように、俺もふにゃりと笑っていた。
その時、空に光るなにかが見えた。
2人で空を見上げた。そこには、降り注ぐ流星群があった。
「綺麗だな」
俺は親友に話しかけた。
「…俺、ここに戻ってくる直前にあの流星倒したんだぜ」
そんな話があるか、と思ったが、親友の話は妙に信じられた。
夜空に煌々と輝く星空を隣で眺めているこの時間が、ずっと続いてしまえば………
そう思って仕方がなかった。
《凍てつく星空》
12/2/2025, 4:02:41 AM