からっぽ

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お題「忘れたくても忘れられない」

私はまだ覚えている。
固くなってしまった小さな命に触れたときの心を。

まるで眠ったように、けれどカチコチになっていて
まるで心に実感もなく、時間は過ぎていき、
その小さな命は棺桶代わりの箱に入った。

そうなって初めて、私は泣いたんだっけ。

君が大好きだったおやつを、最後に入れてあげなさい
そう母に言われても、私は泣くばかりで、
確か君のそばに入れてあげられなかったよね。

あれから何度君を思い出して泣いたか、
覚えていないけど、暗闇ばかりではなく、
小さな頃からの君と過ごした日々も含めて、
楽しい日がたくさんあって、私は次第に
君がいなくて大丈夫な日が増えたよ。

だけどね、やっぱりふと会いたくなるよ。

ワンちゃんとの物語がテーマの曲なんかを聞くと
いつも君を思い出して泣いちゃいそうになる。
辛いことがあると「会いたいな」って声に出るよ。

一緒に過ごしていたもう一人のワンちゃんには、もう
そっちで無事に会えた?とか、病気も治って、
向こうで元気になった?とか、気になることは沢山で
一緒に過ごしてた時間、君は幸せだったかな、とか
時々君を思い出して、笑ったり泣いたり忙しいよ。

君が亡くなって何年だっけ。思い出せないけど
私が生まれた頃には家族になっていた君は
いつも私のそばにいてくれた。
だからこそ、私君を忘れられないのかな。

苦しいとき、辛いとき、
どうしょうもなく会いたくなる。



10/18/2022, 3:12:56 AM