答えは、まだ
「私はお前が好きだ」
あの日は雪の深い静かな夜だった
コイどころかユウジョウもシンライも
人との関わり方を知らなかった私に
差し出されたあの人の言葉
言葉がわかるが故に
人も獣も魔物も
姿がどうであれ敵ならば全て同じと
立ち向かってくるもの全てを切り捨てていた
子の前で親を斬った
友の亡骸にすがりつく男を串刺しにした
依頼さえあればなんだってやった
化け物と呼ばれた
それを気にしたことはなかった
あの人は血まみれの私の手を両手で包みこんで
冬の透き通るような青空の瞳をまっすぐに私に向けた
「私はお前が好きだ」
「お前のこの手は私と私の友人を救ってくれた手だ」
「狩りも荷物の配達も子どもの探し物を手伝うのも全てお前は同じように真摯に取り組む」
「誰であれ何であれ同じように向き合うその姿に私は惹かれたのだ」
「だから自分のことを化け物なんて呼ばないでくれ」
「お前は私の大切な友なのだから」
あの日もらった言葉の答えは、まだ見つからない
でもあの人に恥じない生き方をしたいとそう思った
【指針】
9/16/2025, 11:00:12 PM