-ゆずぽんず-

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勢いよく立ち上がる炎に薄い煙がもくもくと上りダクトへ吸い込まれていく。火の加減を調整して少しの油を鍋肌へ広げると、パチパチと軽快な音が鍋を叩き鉄の音と混じっては小気味よい音色を奏でる。

肉を入れ、すぐには触らず焼き色をつけつつ火入れを加減し、次いで野菜を投入して肉と野菜の火通りを合わせる。 さらに火を調整して調味料を入れていけば、美味い美味いと箸のとまらぬおかずがあっという間にひとつ。鍋に熱湯を注いでササラで綺麗にしたならば、もう一度火を強く、しっかりと鍋を温め直す。大匙一杯の油が鍋に馴染めば、たまごを入れて間髪入れず白飯を落とす。米が潰れないようにしながらも米と卵を調和させていけば、たまごのふわりとした香りがコメを包み込んでいく。空気を含ませるように混ぜ合わせ、野菜を追加して炒めていく。塩、コショウ、すこしのガラ出汁と中国たまり醤油で味を整えればあっというまにチャーハンの完成だ。

私は和食と中華が好きだ。作るのも食べるのも、誰かに振る舞うのも好きが故に、北京鍋や広東鍋などの中華料理用のものを一通り揃えて愛用している。もちろん、繊細な和食を作る際にはこれらは使わない。調味料も和食と中華用でそれぞれ揃えているが、そのために調理道具も多い。包丁も和包丁は牛刀と菜切り、出刃と柳刃。中華では、薄刃と中厚刃の中華包丁を揃えている。薄刃は野菜や魚の調理を得意としており、中厚刃は野菜や肉、魚などをオールマイティに調理することができる。加えて、包丁や鉋を手入れするために天然砥石各種取り揃えているが、さすがに手元に揃えた感は否めない。

しかし、思わぬ問題が生じたのである。先般、転居をしたのはいいものの転居先のガス設備がLPガスではなく都市ガス供給の物件だったのだ。私が所有しているリンナイの業務用コンロはLP仕様であるため使用できない。
都市ガス用の業務用コンロを新調すべきか、いっその事バーナーと八キログラムのガスボンベを揃えてしまうべきか悩んでいる。私のフライパンや鍋のうち鉄物がほとんどで、手入れをする時などはバーナーくらいの強く勢いのある火力で手早く終わらせたいが、手にして余りある気がしなくもない。しかし、弁当の作り置きやおかずの作り置きで、定期的に大量に調理をする私にとって妥協のできるところでは無い。どうしたものか。


とりあえず、包丁と鉈を研いで雑念を捨ててこよう。

4/11/2025, 11:10:30 PM