「ねぇ、××……今日は空に三日月が昇ってるよ。きれいだね」
そう言っても何も返ってこない。ただ、そばにはいるんだ。安らかに眠っている君が。
……いったい、いつになったら戻ってくるんだい? 僕だけ生きているのは辛いよ。寂しいよ。君と一緒じゃなきゃ――
『お前は、俺がいなくたって大丈夫だ』
「――!」
『周りを見てみろ。昔とは違うんだ。今のお前の周りには、たくさんの仲間がいる。だから、生きろ〇〇。そして、また明日も、平和に――』
なんて声は、すうっと僕の耳を通り、身体中を巡った。そして最後に、聞こえた。
俺がいつまでも見守っておいてやる。俺が見れなかった分を、お前が見るんだ。そして、この先もずっと切り開いてくれ。未来を。
「××……」
涙が溢れ出て止まらなかった。何とか止めようと、僕は上を見上げる。ほっそりとした三日月の周りには、たくさんの星が輝いていた。支えるように。
――永久に時が流れるのなら、みんなが明日を望むのなら、前に進もうとするなら、いつかこの月だって。
〜三日月〜
1/9/2023, 3:13:34 PM