浜崎秀

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「来年もまた来ようね」

 冷たい空気の中、今年初めての白い光に照らされた君の顔は、何よりも美しく見えた。

 あれから、色々あった。

 給料が上がった。ほんの少しだけど。あれだけ愚痴ってた仕事も、少しだけ楽しく思えるようになった。君が好きって言ってたから、服も靴も前のから少し変えた。大掃除のついでに、部屋もリニューアルした。ベッドも一人用に買い替えた。

 報告したいことがたくさんある。他の誰かじゃ意味がないんだ。君だから話したいのに、君はそこにいてくれない。こんなこと言ったら、「しっかりしなさい」って笑って叱られそうだけど……

「まだ大変だけど、頑張ってる」

 彼女の名前が刻まれた石に、そう語りかける。

「行ってくるよ」

 石碑に背を向け、凍てつく空気の中を歩き出す。神社は人で賑わっている。家族連れ、カップル、学生グループ……

 長い列を並び終え、遂に賽銭箱と対面する。ゆっくりと息を吐き、500円を投げ入れる。

「また来年、ここにいるみんなが参拝できますように」

『君と一緒に』

1/6/2023, 10:34:07 AM