やなまか

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優しい人ではなかった。

非情に生きる彼は、小さな私たちについには心の内を見せることはなかったのだ。
1人では生きられぬ子供には育てまいと突き放すが、時には雨を代わりに打たれ。
痩せた身体は小さく見えたがとても強い男だった。


風が吹けば彼が笑っている声のようで、雨が降れば彼の頼もしい背中を思い出す。
私は今日、新しい道を行く。彼と同じ仕事だ。
空を見れば手が届くような夏雲だった。

6/27/2025, 1:01:49 AM