星が輝くレストランの1番景色が見える席、目の前には緊張した面持ちのあなた。
「僕と、付き合ってください」
真っ赤な顔で一生懸命思いを伝えてくれるあなたが愛しくて。告白の場というには大それた所、まるでプロポーズのような雰囲気に胸が高鳴ったのがはじまり。
それからは怖いくらいに幸せで。手を繋いだり、触れ合って生まれた温度から幸せが滲み出す。その幸せに触れる度に「この人とずっと一緒にいたい。」と思った。
でも、人は変わっていくもので。
星が輝くレストラン、1番景色が見える席。
この関係を始めた場所で残酷にも終わりを告げるあなた。勝手すぎやしないかと思う反面、謎の律儀さに感心する。
落ち着いたクラシックが頭に響いて。必死に「こんなやつと別れられて良かった」と自分に言い聞かせる。
窓の外には無数の星。
目の前にはもう誰もいない。この涙を拭ってくれるあなたはもう居ない。
『これは失恋の物語。はじまりは、星が輝くレストランにて。』
6/4/2022, 8:34:23 AM