NoName

Open App

 きんと冷えた朝。道の草にうっすらと霜が降りている。透明な小さな小さな氷の粒たちが、朝の光に輝いて、いつもの道が違ってみえる。

 土の部分には、霜柱ができていた。土の合間に薄い氷の柱がちらちらと見えている。ザクっと氷を踏む感触が面白くて、土の部分を探す。それにしても、繊細で少し手応えのあるものを踏み締めるのは、なんて心地よいのだろう。足の裏で薄いものが、パラパラとほぐれていく。

 すぐ壊れるものを踏むなんて、普段ならできないものをしているという感覚がいいのだろうか。ずっと飽きもせず、ザクザク踏み締めて歩いた。

「霜降る朝」

11/29/2025, 8:09:22 AM