古書店に入って、店員に挨拶をするべきなのか迷ってしまう。特に、個人経営の古本屋は店主1人で店番をしている。店の中に入れば、嫌でも目が合ってしまう。
私は躾けのなっていない人間だから、無言で店に入る。しかも、人よりも本と交流したがる本の虫だ。古びた背表紙を向ける本に向かって、「ごきげんよう」と挨拶したい。私の霊感に反応する本はいるだろうかと本棚の間を歩きたいし、長年積み重ねた埃と沈黙を払いたい。
前世のつながりを人間よりも本に求める性分だ。ページをめくりながら、たましいの巡り逢いをしたい。
そうは言いつつも、この出逢いを与えてくれたのは古書店の店主だから、彼彼女らに敬意を込めて挨拶をするべきだろう。まあそれでも、生きている人間よりも本の世界の住人と仲良くなりたい。また古本屋に入っても店主に目もくれず、本にしか挨拶しないだろうな。
(250424 巡り逢い)
4/24/2025, 12:31:30 PM