ももく

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 キリリとネジを巻くと、コツコツ、という妙に大きな音が時を刻み始めた。
 長針と短針が重なると、どこにそんなものを積んでいるのか、古ぼけたオルガンのような音が、ボワボワと軽快な旋律を奏でる。
 それにあわせて、からくりの小人たちがぎこちなく動き出す。
 歯車とバネがカチカチカタンというのが、小人たちの動きに妙に合っている。
 曲が終わると、ボーン、ボーンという鐘の音が、もったいぶったように、貫禄を見せつけるように、ゆっくりと時を告げる。
 
 カチリ、と長針が六十分の一を動くまでの一分間に、大名行列を見たようだった。



『鐘の音』

8/6/2024, 10:23:18 AM