建物に響くのは誰の足音? それは自分の歩く音。
今手を叩いたのは誰? それは自分が誰かを呼ぶ音。
それ以外には何も聞こえない。
周りには誰もいない。ここには自分しかいない。
白い建材で彩られた厳かな建物。
天井は高く、室内も広々としていて、もしかしたらここは誰かの豪邸だったかもしれないと感じさせる場所。
でも自分は知っている。
この建物はかみさまが気まぐれに作ったもの。
建物だけじゃない。この世界そのものが気まぐれに作られたもの。
この建物を出たらすぐそこは海。道はない。
建物が出来たら道はできると思っていたけど、一向に作られる気配がない。
生き物は自分だけ。他の生命体には会ったことがない。だから手を叩いて呼んでいるけど、誰も来ない。
かみさまはもうこの世界にもう来ないのかもしれないけど、自分はこの静寂の中心でいつまでも待っている。
いつかかみさまがこの世界を完成させて賑やかな世界になることを、ずっとずーっと待っている。
それくらい夢を見たって許されるよね?
だから、早く帰ってきてください。かみさま。
10/7/2025, 2:49:15 PM