キャンドルを集めるのがこの世界での私の仕事らしい。
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目が覚めると孤独だった。
暗く寂れた場所にいた。どこからともなく風が吹いて、身体を温めるマントも持たない私は小さく身震いした。
こんな所にひとり取り残されたような、しかし確かな意志を持ってここにいるような、そんな不思議な感覚だった。
周りを見回す。太陽の光もなく薄暗い景色の中、ひとつだけ光り輝くゲートがあることに気が付いた。
誘い込まれるようにそこを目指して歩き出す。足取りは案外軽かった。
この先にはきっと希望がある。そう信じて私は一歩、光の中に足を踏み入れた。
❄︎
この世界にはたくさんの住人がいるらしい。
みなそれぞれ個性を持ち、好きに生き、自由に空を飛んでいる。
私にも行動を共にする仲間ができた。
気さくでおしゃべり好きなのが一人。
人懐っこくていつも一緒にいたがるのが一人。
自由奔放で神出鬼没なのが一人。
共に過ごした時間は私にとってかけがえのない大切な時間だ。
楽しい思い出も、悲しい思い出も、温かい思い出も、少し辛い思い出も、私の記憶の中に大事にしまってある。
そうして何年が経っただろう。
みな、この世界から旅立っていってしまった。
私の記憶の星座盤には、今も変わらぬ姿で君はそこにいるのに。
私はまた、孤独になった。
❄︎
ひとりで生きるというのも案外楽しいものである。
この世界は美しい。
壮大な景色、気持ちの良い風、鳥の囀り。
風を受けながら自由に空を飛ぶ。川のせせらぎを聞きながらのんびりと川辺を歩く。
何にも縛られず、何も恐れない。穏やかな時間がここには流れている。
そうして私は今日も駆け回る。
まだ知らないあなたに出会うため。
君の心に火を灯すため。両手いっぱいにキャンドルを抱えて。
「Sky 星を紡ぐ子どもたち」より
11/20/2024, 6:44:53 AM