真夏の太陽は容赦なく照りつけ、のろのろとした足取りで坂を上る私の肌をジリジリと灼く。
大きく息を吐き、足を止め、坂を見上げる。
かなり上ってきたつもりだったが、坂の上まではまだ距離がある。
まだあんなに上らなきゃいけないのかとうんざりする。
道の両側の木々から聞こえるセミの声が、アスファルトから立つ陽炎が、耳から目から暑さを増幅させるようで、私はますますうんざりする。
それでも今日だけは行かなければならない。
そんな使命感にも似た思いに突き動かされて、一歩ずつ歩を進める。
もう少し、あともう少し。
今年も会いに行く。
最期にした約束 "毎年必ず会いに行く" を守るため。
―――墓参り
#81【真夏の記憶】
8/13/2025, 9:54:14 AM