ウゥン___ウゥゥゥン___。
一畳にも満たない個室に取り付けられた手水の座椅子が唸る。
私はその座椅子に座り込んでいる。
あまつさえ、今現在、手袋を被せられた両手でスマートフォンを滑らかに扱って、この小説を書いている。
ちなみに手袋をして手水に居る理由は、
鶏皮の唐揚げを作ろうと思った刹那に、自身の下腹部が尋常ではないほどの振動と悲鳴をあげたからであった。
私はゆっくりと右を向いた。トールサイズの煙草箱三つ分の備え付け機器がある。それにはボタンが沢山あり、よく分からないものまであった。
暫し眺めたあと、気になるボタンを一つ見つけた。
『おしり』と記載されたボタンを、目を細くして眺めた。
アルファベットのダブリューの角を削って丸くしたような絵文字に、噴水を象った点々がある。
これは、なんだろう?
おしり……お知り?
もしや、私に問いかけてきているのか?
私は一度トイレを立ってから、そのボタンを恐る恐る押してみた。
すると、ゥゥゥン___ウゥゥゥン。
今度は怒ったような音を鳴らす座椅子。
穴をひょっこりと覗いてみると、何やら細い棒が私に向けて動き出しているではないか。
その細い棒には小さな穴がぽつんとある。
刹那____何が起こったのか。
それは、ここまで読んでいる賢者ならば気づいたのではなかろうか?
4/29/2023, 1:33:54 AM