題 泣かないよ
私と彼氏は、大学が別々になった。
高校から一緒に行こうねって約束してた大学に、私が落ちてしまったから。第2志望は地元の大学にしていた。
親と第一志望が落ちたら地元の大学に行くと約束していたんだ。
「4月から頑張ってね」
私は彼氏に向かって笑顔で言う。
合否発表の後、近くの公園で会っていた
間違っても泣いたりしないと決めていた。
だって私の努力が足りなかったから、落ちたんだから。
「ああ・・・」
彼氏は私の方を向いてためらいがちに言う。
「毎日電話もするし、メッセージも送るから・・・」
私は彼氏の落ち込んだような様子に、無理やり笑顔で頷く。
「うんっ、分かった!メッセージ毎日してね!大学行ったら可愛い子沢山いると思うけど浮気しちゃだめだよ」
「大丈夫、心配しないで」
彼氏は私の言葉を聞いて側に近寄ると、私を優しく抱きしめた。
「一緒に行きたかったな。でも、大丈夫。今までの君との時間があるから、僕は頑張れる。休みに入ったらすぐに会いに来るから」
「うん・・・」
私は、涙がこみ上げそうな気持ちに必死に抵抗する。
今更ながら彼氏の存在の大きさを感じていた。
いなくなると思うほど、辛さが込み上げてくるみたいだ。
「ユキ、手を出して」
彼氏に言われるまま、体を離し、手を出すと、右手の薬指に光る物がはめられた。
「えっ!?」
キラキラ光る宝石が嵌まった指輪だった。
私は混乱して彼氏の顔を見つめる。
すこし照れたような彼氏の顔。そして、私を見るとこう言った。
「ユキが不安にならないように考えたんだ。約束しよう。ずっとお互いに好きでいようって・・・してくれる?」
不安そうな彼氏の顔。彼氏も不安だったんだ・・私と一緒だったんだ・・・。
「もちろん!!」
私は彼氏に抱きつく。
私の目からとめどなく涙が流れる。
でもいいや。
だってこれは、純粋な幸せの涙なんだから。
3/17/2024, 11:36:11 AM