謎い物語の語り手

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放課後


毎年母校を訪れている。そして今年も。
今はもう放課後。教室に生徒はいない。
昼間はたくさんの声で賑やかなのに、夕方は何だか寂しくなる。この感じが懐かしい。

といっても、私が訪れるのは夏休みだから1日誰もいないのだけれど。

たくさんの思い出がある。
眠かった授業。誰も真面目にしない掃除。そしてこの景色。昨日のことのように思い出せる。

窓から差し込む夕日を眺めながら、かつての自分の席に座る。その時スマホが鳴った。画面を見る。

『もう還らなきゃだめだよ。還ってこい。』

通知にかかれたそれを見て私は¿¿¿¿???

「あ、私、死んでるんだった(笑)」

眠かった授業。誰も真面目にしない掃除。そしてこの景色。死ぬ前に見ていた1日、これしか思い出せない。

窓から差し込む夕日、窓から差し込む夕日の時だけ。
毎年毎年毎年毎年お盆にだけ、地獄から帰って来られるのよ。この時間に。

私が窓から突き落とされたこの時間にさ。

返してよ。私の平和だった放課後を返してよ。
地獄に還りたくない。返してよ。
平和な放課後を返してよ。
返してよ返してよ返してよ返してよ返してよ返してよ返してよ返してよ返してよ返してよ返してよ返してよ

10/12/2024, 12:16:28 PM