《刀の本能》
(刀剣乱舞/一期一振)
一期一振は再刃された刀である。
かつて乱刃の刃文をもっていたが、現世の帝にある一期一振は直刃の刃文だ。
故に、かつての一期一振と今の一期一振は別とも言えるかもしれない。
刀剣男士の一期一振とて同じこと。
かつての主の記憶は記録を見ているようで、自身のことだと実感できぬまま。
だからこそ、平和な世しか知らぬ一期一振にとっては、血なまぐさい戦場はどこか縁遠いものだった。
しかし、一期一振は紛れもなく"刀剣"であった。
ある日の戦場にて、一騎打ちまで追い込まれた事があった。
その時、一期一振は今まで浮かべたことの無い笑みを浮かべたのだ。
(あぁ、そうか。これが刀として、武器としての本能であり、本望が見せる高揚感か)
そしてその高揚感は高鳴る鼓動として全身を脈打った。
血が駆け巡り、脳が冴える。
「これ以上、好きにはさせん!」
振るう刃は、美術品としてのお飾りの美しさだけではなく
実践刀としての鋭い切れ味を誇り、敵を斬る。
そして敵を殲滅し、傷だらけのボロボロな姿で、
一期一振は笑っていた。
9/8/2024, 12:40:11 PM