REINA

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落下



興味が無い振りをしていた。
本当は手にしたいなと思っていたから。
でもどうせ手に取ることはないだろうと思っていたら、
まさに私の掌に吸い込まれるかのように、それは宙を舞った。

徐々に眼前に迫ってくる。
ああ、スローモーションって本当に起こるんだなと冷静に思いながら、でも高鳴る心臓の音が響いていた。

レースのリボン刺繍で束ねられたブーケは、私に向かうのが当たり前のように落下してきた。

トンっと音がした。
私の掌に当たったブーケは、その反動で別な方向へと軌道を変える。

そのブーケを逃すまいと自然と一歩二歩と足が出た。
これでは結婚したいと執着している女のようだ。
そして時はすでに遅く身体が転ぶ体制へとなった。










気づいた時には、知らない男性に抱き止められていた。
どうやら助けてくれたらしい。

周囲の「大丈夫?」の声掛けやら、何となく笑われているような目線を肌で感じながらも、私の目は助けてくれた彼に釘付けになった。

王子様みたいな人って、本当にいるんだと、メルヘンチックな感想が頭をよぎる。

「どうぞ」と手渡されたブーケ。

何となくコレは運命に違いないという警鐘が鳴りやまない。
抱き止められた感覚や、ブーケを渡された時に触れた手を思い出し、私は恋の沼へと落下した。

6/18/2024, 12:29:07 PM